校内研修の取組


○令和3年度の取組について(準備中)

○令和2年度までの3年間の取組について

 平成30年~令和2年度まで,熊毛地区研究指定校として国語科の研究を行ってきました。コミュニケーション能力の育成を目指し,その基盤となる「言語で伝え合う力」の育成について研究を進めてきました。概要は下記の通りです。実践の詳細は研究紀要を御覧ください。


1 研究主題「コミュニケーション能力の要となる言語で伝え合う力の育成」

   ~~少人数・複式における主体的・対話的で深い学びの追求を通して~

2 主題設定の理由


(1) 社会の要請及び学習指導要領の趣旨から

 情報化やグローバル化・少子高齢化など,先の見通せない社会に生きる児童にとって社会の変化に対応し,課題に主体的に向き合い,解決していく力の育成が不可欠であり,その基盤となるのがコミュニケーション能力である。本校ではその要は「言語で伝え合う力(以降伝え合う力とする)」であり,少人数・複式学級における指導の在り方を見直し,児童にコミュニケーション能力を身に付けさせるための「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善が必要であると考えた。本研究では特に国語科で身に付けさせたい伝え合う力を明確化し,身に付けさせること,そして対話活動を充実させ,コミュニケーション能力の向上を図ること,この2点を研究の大きな柱と位置付けてきた。

(2) 児童の実態から

 自分のことを話したり発表したりすること,他者の考えを聞くこと,話し合うことが楽しい,あるいはそのような力が必要であると考えている児童がほとんどである一方で約4割の児童が苦手意識をもっていることが実態調査で明らかになった。本研究によって児童に豊かなコミュニケーションを身に付けさせることにより,児童が自信をもって様々な人々と関わろうとする態度やそのための技能を身に付けさせることを目指してきた。

3 研究の仮説とめざす子供像


(1)研究の仮説

 言語で伝え合う力を明確にするとともに,身に付けさせた上で①,自ら考え,伝え合うことができる学習過程②や伝え合うための言語活動を工夫③したならば,言語で伝え合う力を育むことができるのではないか。

(2)仮説について

 研究を進めるにあたり伝え合う力とは何かを明らかにすることが必要であり,その上で国語科で意図的に身に付けさせるべきであると考えた。そのことを仮説の下線部①は示している。また,伝え合い活動を充実させるためには児童の学びへの主体的な態度の育成が不可欠なこと,さらに対話的学びの充実が必要であることから「主体的・対話的で深い学び」による授業改善が必要であると考えた。下線部②はそのことを示している。そして,児童が身に付けた能力を発揮し,高める場の設定,伝え合う力を支えるための語彙力の育成なども並行して行った。下線部③はそのことを示している。

言語で伝え合う力とは・・・本校では「一人一人が自分の考えをもち,人と人との関わり合いの中で,自分の考えを言語を通して表現したり,互いの立場や考えを尊重しながら考えを交流したりすることができる力」と言語で伝え合う力は自分自身から他者との関わりへと3段階があると考えた。

4 成果と課題

 言語で伝え合う力を明確にしたことで,めざす子供像が具体化し,研究の理論が明確になったと同時に,様々な対策を職員間で出し合い,実践することができた。また,伝え合う力を問題解決学習の過程と結びつけて捉えたり,学習指導要領を基に具体化したりしたことによって,伝え合う力は国語科で培っていくべき物だという共通認識が生まれ,授業の中で身に付けさせるような指導を行うことができた。
 自ら考え,伝え合うことができる学習過程を構築するにあたり,熊毛教育事務所の提唱する学習過程を基礎として,3つの「見通す」→「学び合う」→「振り返る」という大きな学習過程に,6つの「振り返り」→「学習課題の設定」→「学習方法の理解」→「課題の追求(自力追求→相互追求→課題解決)」→「本時のまとめ」→「深い学び」の学習過程を設定したことによって児童の主体性の育成や対話活動を伴った相互追求を充実させることができた。ただし,少人数という環境の中で対話的活動をより活性化させるためには教師や教師以外の人材活用,他校との交流等を行うことが必要であると考えている。
 また,「主体的・対話的で深い学び」の視点に基づき,8つの授業改善の視点に具体化したことで,教師の授業改善にもつながった。4名の担任それぞれが8つの視点に基づき,どのような工夫や改善策を講じて授業改善を行ってきたのかを紙面等で共有することができた。また,全ての学級で研究授業を行うこともできた。少ない教師集団の中でこのような共通した視点に基づいた実践の相互共有が図られたことは教師の指導力改善にも寄与したと考えている。
 本校では,語彙力や自己肯定感の高揚,伝え合いの場の設定,国語コーナーの設置等伝え合う力を高めるための共通実践を可能な限り考え,実践してきた。それは主に校務分掌組織に基づき,それぞれの係がそれぞれの案を提案することによってより充実してきた。例えば自己肯定感を高めさせる取組については養護教諭,伝え合いの場の設定については特別活動担当,国語コーナーの設置については広報渉外担当がそれぞれ提案した。自己肯定感の高揚については児童の意識調査等からも高まりが見られた一方,語彙力の高揚については十分達成したとは言えない。しかしその必要性については3年間の研究を通して強く感じている。これからの課題としたい。


実践の詳細については下の研究紀要を御覧ください。